BMTの前処置
白血病においては、拒絶を防ぐための免疫抑制と、白血病細胞の根絶を目的とするため、骨髄破壊的な前処置が行われるが、副作用も著しいので、全身状態のチェックが重要となる。
全身放射線照射(total bodyirradiation;TBI)+CY(シクロフォスファミド)を標準として種々の抗癌剤(AraC、Bu、L-PAMなど)を組み合わせて行うが、当センターでは、近年、CA(AraC)+CY+TBIで行っていることが多い。
感染症に対する対策
前処置により好中球が著減する移植後約1ヶ月以内は細菌(特にグラム陰性桿菌)、真菌(特にカンジダ)による敗血症、肺炎や、単純ヘルペスウィルスによる口内炎が生じやすい。
BMT後1〜6ヶ月頃の好中球回復期には免疫抑制剤による細胞性免疫の低下や急性GVHDが発生し、CMVによる間質性肺炎、VZV(varicellazostervirus)による皮疹、adeno-virusによる出血性膀胱炎が多発する。
感染症予防
無菌室、無菌食による管理と薬剤による予防をする。
細菌感染予防:バンコマイシン、ポリミキシンBなどの抗生物質投与と、イソジンよる含嗽
真菌感染予防:アンホテキシンBシロップによる含嗽、服用、吸入。
ウィルス感染予防:C7-HRPはウィルス分離や血清学的検査に先立って陽性化し易く、CMVによる間質性肺炎の早期発見、治療に有用。免疫不全状態でのCMVの再活性化の予防に、抗CMV抗力価のγグロブリン製剤投与と、ganciclovirの予防投与が有効である。
輸血によるCMV感染の可能性もあるので、donor・recipient両者がCMV抗体陰性の場合はCMV陰性donorより採取した輸血が必要になる。
単純ヘルペスウィルス感染症にはacyclovir経口投与で予防する。
カリニ肺炎:PCR法でPneumocysiscariniiを検出する。ST合剤の予防投与が有効。
移植治療に伴う合併症
前処置では骨髄破壊的な抗癌剤や放射線療法のため、多臓器の副作用は高度になる(RRT;regimenrelated toxicity治療関連毒性)。
@心毒性−CYによる心筋障害は確実な予防法がなく、移植前の心エコーなどのチェックが不可欠である。
A肺障害−間質性肺炎:CMV(サイトメガロウィルス)、カリニ肺炎、TBIが原因。
B腎・膀胱障害−腎・膀胱障害:腎毒性の強い薬剤シクロスポリン、アンホテリシンB、バンコマイシンなどの併用や、VOD・感染症に続発する腎障害と、前処置に投与される大量のシクロスポリンの代謝産物アクロレインによる出血性膀胱炎がある。強制利尿と、アクロレインを不活化するメスナによって予防する。
C肝障害−VOD(veno-occlusivedisease):前処置抗癌剤による幹細胞壊死と続発する細静脈・類洞孔の非血栓性閉塞が原因とされる重篤な肝障害。黄疸(Bil2mg/dl以上)、腹水、肝腫大、体重増加が特徴。予防法は抗凝固療法、治療法は血栓溶解療法である。
D皮膚障害−紅斑、丘疹等の皮疹。抗癌剤による障害。GVHDの鑑別が必要。
E下痢−抗癌剤の毒性によるものは自然に軽快する。悪化するようだとGVHD、TMA、CMV感染なども考える。F口内炎−移植前処置による毒性が原因の場合は白血球の回復とともに軽快するが、遷延する場合は単純ヘルペス感染症を疑う。
G免疫抑制剤の調節-同種移植のときの免疫抑制剤、シクロスポリン、FK-506(タクロリムス)の副作用が多いため、血中濃度の測定を週1回行って投与量の調節を行う。腎障害の頻度が最も高いため、血清クレアチニン値が正常上限を超える場合や水分貯留による浮腫、体重増加、高血圧のとき、TMAが関与しているときには、減量を行う。FK-506で高血糖が見られたらインスリンを投与する。血中濃度はシクロスポリン200〜300ng/mlが適当で、400ng/ml以上は減量する。Fk-506では10〜15ng/mlが適当、20ng/ml以上では減量する。
TMA
細動脈に血小板血栓が形成し、虚血による多臓器障害が起こる。TTP様(発熱、溶血性貧血、黄疸、出血症状、神経症状など)やHUS様(乏尿、無尿、体液貯留、高血圧、うっ血性心不全、肝脾腫など)の病像を呈する。GVHDと同じような症状を呈する場合があるので鑑別が必要である。治療には免疫抑制剤を減量する。(免疫抑制剤を増量するとかえって悪化する。)
GVHD(graft-versus-hostdisease)
allo-BMTでは、移植骨髄細胞中にT-リンパ球やその前駆物質が含まれるため、HLAの一致したドナーでも、HLA以外のminor抗原などを標的抗原としてリンパ球が認識し、拒絶を免れてもGVHDが生ずる。GVHDの合併により免疫不全状態が遷延し、致死的にもなるが、donorリンパ球は白血病細胞の移植抗原を認識し、白血病細胞を攻撃する、GVL(graftversusleukemia)効果も期待できる。HLA不適合が増すほど頻度も多く、重症化しやすい。
急性GVHD−移植後100日以内、白血球が1000を超える頃(移植後2〜3週頃)に、皮疹、肝障害、下痢を主症状として発症する。(診断基準については表7及び8を参照)
治療−grade以上の場合に治療を開始する。プレドニゾロン点滴投与を2週間つづけ、改善すればゆっくり減量する。シクロスポリン使用例では、FK-506(タクロリムス)に変更する。
慢性GVHD−移植後100日以降に、生着して成熟したT細胞によって引き起こされる。
a.皮膚症状−かゆみを伴う扁平苔癬様皮疹、紅斑、日光過敏症、色素沈着、発汗障害など。抗ミトコンドリア抗 体・抗平滑筋抗体・リウマチ因子・クームステストが陽性になる。
b.肝臓症状−胆管障害や肝細胞障害がある。
c.眼病変−シェーグレン症候群様の唾液・涙液分泌障害。口腔乾燥、口内炎、
d.眼球乾燥、疼痛、粘膜障害による嚥下困難、
e.消化管症状−食道炎
f.肺病変−閉塞性細気管支炎、閉塞性呼吸障害。
治療法は免疫抑制剤の投与(ステロイド、シクロスポリン、タクロリムス)
表8 急性GVHDの診断基準
|
stage | 皮膚 皮疹(%) | 肝 総ビリルビン(mg/dl) | 消化管 下痢(ml/day) |
| 1 | <25 | 2.0〜2.9 | 500〜1000 |
| 2 | 25〜50 | 3.0〜5.9 | 1000〜1500 |
| 3 | >50 | 6.0〜14.9 | >1500 |
| 4 | 全身性紅皮症(水泡形成) | 15.0 | 高度の腹痛・出血(腸閉塞) |
表9 急性GVHDのgrade
Grade 皮膚 肝 消化管 氈@ 1〜2 0 0 3 or 1 or 1 。 − 2〜3 or 2〜4 「 4 or 4 −
stage
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