公立香住総合病院 検査室  
      〜兵庫県最北端の施設より〜 
(*兵臨技”会員名簿”掲載施設参考) 

兵庫県は南北に長く、太平洋と日本海の両海に面している珍しい県です。
今回取材させていただいた施設は、北緯3538分にあり、地中海のキプロス島や
クレタ島、国内では千葉市と同じ位置にあたります。


   初めに中尾室長に施設紹介していただきましょう・・


                                                        中尾 政晴(公立香住総合病院 検査室)

   公立香住総合病院は、兵庫県の最北端に位置する公立病院として、一般病床50床、
3階に介護老人保健施設「ゆうすげ」を併所し、当検査科は臨床検査技師3名、事務員
1名で、24時間、365日、休祝日を交代で業務を行っています。


   当院も多分に漏れず医師不足の影響を受けていますが、医師確保が難しくなりつつ
あった数年前より、当検査室はこれを好機と考え、医師業務を軽減する目的で、緊急時
採血、視力検査、血液製剤の検査室一元化等を行い、他職種業務を取り込むようにしま
した。一方、患者サービスや業務効率化の向上を図りながら、検査コストの徹底的な見
直し、採算性の悪い機器の入れ替え、明らかな利益を確保出来る機器の導入等を実行
し、この数年間、検査室では前年度収益を上回るようになり、病院全体の経営としてもか
なり明るい見通しが付くようになりました。また、とかくブラックボックスと揶揄される臨床
検査技師業務をアピールする為に、糖尿病・脂質異常教室での講演、検査相談の受付、
検査室主催の勉強会の開催、新聞・町報へのコラム掲載等も行い、病院内外での理解
を深めるよう努力しています。


   検査に関しては医師以上の知識を持つ事を信念に、生理検査を始め、一般検査、生
化学・免疫検査、細菌検査、簡単な細胞診、輸血関連検査等の検査が行えるだけでな
く、各データーを結びつけ分析する事で、速やかに患者の病状を判断し、検査の追加や
新規検査オーダーを医師に進言したりしています。また、超音波検査では医師との信頼
関係の元、所見や病名の記載、考えられる治療方針まで話し合うこともあります。大変さ
の中にも臨床との深い結びつきを感じ、小さい病院ながら責任と誇り、そして日々やり甲
斐のある検査業務を行っています。


 
                公立香住総合病院

 
    左から土井技師、上原技師、中尾室長



  引続き、電話とメールで取材させていただきました内容を掲載いたします。

広報 : 兵臨技“会員名簿”に掲載されている施設で、兵庫県最北端の病院であった
          ことはご存知でしたか?


室長 : なんとなくそんな気はしていましたが、意識したことはありませんでした。今回
          再認識し、凄く田舎に住んでいる気がし、少し悲しくなりました。


広報 : 施設紹介文をみますと、技師3名でのローテーションはきついと思いますが・・・
          どのような体制で業務されていますか?


室長 : 通常の業務では、少ない人数の為、検査が途中でも引き継げるよう色々な
          工夫をしていますし、仕事がしやすくインシデントが起こらないように、機器の
          配置や動線を考えています。例えば、多くの検査をバーコード化し検査がス
          ムーズに行えるようにする一方、前日の余裕の有る時間に、外来・病棟の
         予約患者の採血スピッツ等多くて7080検体分事前に入力しておく事で、
         依頼入力のミスや取り違えを無くすよう努力しています。このように労力を分
         散することにより、かなりのインシデントの防止、効率化が図れていると思わ
         れます。また、小さな検査室の利点を生かし、フレキシブルに業務の改善と修
         正を繰り返し、日々業務の効率化に取り組んでいます。

         平日待機は2〜3日に一度のローテーションなのですが、勤務の都合上、土
         日祝日は殆ど独りで連続待機となり、長い時で75100時間程度病院に拘
         束されます。夜中も呼び出されることが有り、体力的に辛い時も有りますが、
         医療人の宿命と割り切って仕事をしています。また、忙しいことを理由に知識
         が疎かにならないように、少しでも時間の有るときは各自が勉強することで
         知識とスキルを向上させるよう努力しています。


広報 : 試薬・材料の供給について
         遠隔地区のようで大変失礼な質問ですが、一般的な試薬・材料の場合、発注
         から納品までどの位日数が必要ですか?また緊急に必要となった場合の供給
         体制はいかがですか?


室長 : 殆どの試薬が1週間以内に納品されますし、消費の多い試薬に関しては卸に
         発注頻度、使用頻度を管理し在庫して頂く事で、早い時はその日の内に納品
         して頂く体制が出来ています。


広報 : 輸血業務では、日赤供給血の納品時間も重要となってきますが・・・?

室長 : 緊急性の無い輸血に関しては、血液センターの午前と午後の定期の2便で供
         給して頂いています。緊急時は血液センターからその都度緊急搬送して頂き、
         通常Drからの輸血以来から90分程度で輸血の開始が可能です。また緊急大
         量輸血となった場合外科の医師が2名ですので、外科的処置も出来ない為、
         現在大量輸血を必要とする患者の受け入れは行っていません。


広報 : 機器管理について
         試薬同様に、機器トラブル時、メーカーの対応時間と満足度はいかがですか?

室長 : 故障時、修理以来をした場合、殆どその日のうちに対応して頂いています。また、
         機器の購入時には修理対応を含めた選定を行っていますし、簡単な修理は自分
         達で行っています。


広報 : 外部委託検査について
         外部委託されている検査項目はありますか?

室長 : 特殊検査、病理組織検査、細菌同定検査、緊急性の無い検査は外注していま
         す。ただし、検体数の増加が見込め、採算性が取れると思われる検体検査項目
         に関しては、院内での導入を検討します。


広報 : 外部委託検査の報告所要日数などの問題点はありますか?

室長 : 報告日数、検査費用、採血量、利便性を考えた上で2箇所に外部委託しており、
         現在のところ問題は発生しておりません。この辺りは多くの病院と同じと思います。


広報 : 阪神間などの地区と違うなと思われることはありますか?
         例えば、技師会活動への参加の困難さ等。


室長 : 阪神間まで3〜4時間掛かりますので、研修会、勉強会等に参加しにくいのですが、
         交代で出来る限り参加し、検査室へフィードバックするようにはしています。ただ、
         待機も有りますので、研修の重なった月は土日の休みが殆ど無くなります。近くで
         行われる研修会等には必ず参加するようにしていますが、阪神間と異なり回数が
         少ないのが現状です。要望としましては、実技的な講習会が此方の方で多く行わ
         れれば、若手の検査技術向上にも繋がり良いと思うのですが・・・。


広報 : 冬季は交通手段に影響がでると思いますが、前の質問とかぶるかもしれませんが、
         病院や検査室にどのような影響がでますか?


室長 : 雪国の交通網は多少の雪では破綻しません。免許取りたての若者からお年寄り
         まで、何事もないように車を運転しています。故に、雪による病院や検査室への
         影響は殆ど有りません。大雪の時でも遅刻した職員すら見たことが無い程です。
         ただ、待機に関しては近い者に押し付ける様にしています。

         万が一、機器の故障が発生した場合は、京阪神からからの到着が遅れ修理に
         若干の時間が掛かりるのですが、その辺りも考え、皆が機器の修理講習を受け、
         部品をストックする事で簡単な修理は出来るようにして対応していますので、検
         査が止まる等のトラブルは殆ど有りません。


広報 : 話が変わりますが、病院食(職員食堂含む)にカニは提供されますか?

室長 : たまにカニの剥き身が出るらしいです。皆さん結構誤解されているのですが、カ
         ニが有名だからといって毎日食べられるわけでは有りません。流通量が他より
         多い為に、通常より少し安く食べられるという程度です。実家がカニを販売して
         いる我が家でも、年に数回しか食べられない事がこれを物語っています。



   兵庫県の北部=蟹を連想した質問に対しても丁寧に回答いただきましたが、少ない
人数で病院内で技師としての役割を最大限に発揮できるように、そして地域に根差した
医療を担えるように頑張っておられる技師の方々に頭の下がる思いでいっぱいになり
ました。また技師会への要望もいただきましたので、今後前向きに検討したいと思います。
   お忙しいところ、取材にご協力していただき、ありがとうございました。

                          平成22年11月15日(広報部:鳥居良貴、情報センター:小松敏也)