中 林 病 院 臨床検査科  
      〜兵庫県最南端の施設より〜 
(*兵臨技”会員名簿”掲載施設参考) 

今回取材させていただいた施設は、北緯3416分にあり、前回取材の公立香住
病院と約120分の差があります。天体観測で利用されている手の分度器でいえば
指1本が約2度ですから、それより短い距離になります。
国外では、兵馬俑(始皇帝
の地下近衛軍団)で有名な西安、国内では宮島と同じ位置にあたります。

初めに増井技師に施設紹介していただきましょう・・

                                                            増井 妙美(中林病院 臨床検査科) 

はじめまして、淡路島の中林病院です。
 今回の取材を受け、当院が兵臨技登録施設の中で最南端に位置することを初めて
知りました。どんなことでも、“一番”というのは目立って嬉しいものですね。

  当院は、南あわじ市の国道28号線沿いにあり、周りを田畑に囲まれています。病床
93床で、別棟には40床の透析施設も兼ね備えており、主な診療科は消化器科・泌
尿器科・耳鼻咽喉科・皮膚科・整形外科・内科・外科です。外来患者数は、月平均7
人くらいですが、玉葱の収穫時期である5〜6月と稲刈りシーズンの9〜10月の年2回、
外来受診患者数が激減します。この時期、全国ブランドの玉葱を供給する農家の皆
様にとっては、病気より仕事が優先になっているようです。

 当院の検査科に所属する技師は現在のところ女性3名で、本来の臨床検査のみなら
1名は透析室に勤務し、透析患者の検査およびデータの管理も担当しています。夜
間・休日は、オンコールで対応しています。本年10月末に1名が定年退職したため、10
年ぶりに新規採用者を募集中です。久々の募集となるので、ニューフェイスが入ってく
るのを心待ちにしています。この記事が出る頃には仲間が増えているのであれば嬉し
いのですが・・・。とはいえ、何分海外の淡路島のこと、医師・看護師同様、他の職種も
人材確保は難しそうです。

 さて、本来の業務ですが、検体検査は主に緊急を要する生化学検査・血液一般・感
染症HbA1c・輸血の交差試験等を行っています。また、血液センターからの依頼を受
け血液備蓄機関となっており、その管理も担っています。生理検査は、心電図・呼吸
機能検査・血圧脈波検査・眼底検査などが主ですが、新規に頸部エコーの手技を取
得すべく猛勉強中です。エコー自体、現在所属する検査技師全員が学生時代に勉強
したきりで、長らく装置に触れたこともなかったため、悪戦苦闘しています。

 業務多忙な毎日ですが、一日でも早く技術を取得して日常業務に取り込めるよう、
頑張りたいと思います。


 
                 中 林 病 院

 
            左から出口技師、増井技師、三宅技師


 引続き、電話とメールで取材させていただいきました内容を掲載いたします(敬称略)。

広報:前回取材させていただいた公立香住病院と同様に3名体制ですが、病床数は約
   2倍です。且つ全
員女性で、外来が7000/月(280/日)ご苦労の程は?

増井:外来患者数は延べ人数ですし、その中で検査をされる患者様はもっと少ないの
   で、思っておられるほどに忙しくないかもしれません。ただ、至急検査中に生理検
   査の依頼がはいると、すぐに生理検査をすることができないので外来看護師にも
   協力してもらい、他にできること(レントゲン、採血等)があればそちらに先に回っ
   ていただき、待ち時間を増やさないようにしています。


広報:上記と重なりますが、業務量・人員と機器整備の課題は?たとえば・・・検体数は
   どれぐらいなのでしょうか。救急対応されていますでしょうか。技師が少人数の場
   合は大変だと思いますが、夜間や休日の当直のシフトなど含め、どのようにされて
   いますか。また女性の方は家事や子育てがあると思いますが、技師の性別や年齢、
   住んでいる場所によって何か配慮はありますか。


増井:検体数は約1000検体/月です。
   救急病院ではありませんが、救急対応もやっております。時間外はオンコールで対
   応していますが、通勤時間が1530分と差があるため、担当を決めず近い技師か
   ら連絡が入るようになっています。 


広報:血液備蓄機関について詳しく知りたいです(診療所や開業医への血液供給もあり
   ますか?)。


増井:現在、全ての血液型のRh()を各2単位備蓄しています。
   以前は、他の病院に供給することもありましたが、明石大橋開通後は血液センター
   様の供給が早くなったためか、ここ数年はゼロ件です。


広報:医療機器の保守点検やトラブル時の対応について教えて欲しいです。

増井:トラブル時のメーカー対応は、ほとんどその日のうちにしていただけています。作業
   に入るまで
に最低でも3時間は要しますが、阪神地区ではどれくらいで対応しておら
   れるのかがわからないので、それが普通なのか長いのかはわかりません。


広報:明石海峡大橋ができたことで何か変わりましたか。また淡路にあるということで何か
   メリット、デメリットを感じますか。


増井:上記の回答と重なりますが、血液製剤の供給とか流通が早くなったことと、機器の
   トラブル対応が早くなったことです。

   淡路にあってのメリットはあまり感じませんが、血液センターの備蓄機関ということで
   緊急輸血が必要になった時に、とりあえず備蓄している血液製剤を血液センターへ
   連絡すると、すぐに使用できることは大変便利です。淡路島が遠隔地ということで、こ
   の体制があるなら、これがメリットかな!?

   デメリットは外部の勉強会がほとんど島外ということで、平日開催のものは出席が難
   しく、出席できる日時が制限されてしまうことです。


広報:他病院との連携(勉強会みたいな)とかありますか。

増井:ありません。上記の回答のように、研修会等はほとんどが島外で行われています。
   技師会への要望としましては、実践的な講習会を含め、島内で開催されれば嬉しい
   のですが・・。


広報:技師会へのご要望ありがとうございます。
   
さて病院や検査室でやっているユニークなイベント、行事はありますか?淡路島な
   らではの行事等があれば・・・。

増井:当院には親睦会があり、新入職員の歓迎会・日帰りの遠足・院内旅行・新年会等
   を取り仕切っていますが、珍しいものは無いですね。

   淡路島ならではの行事と言いますと、病院は関係なく島内のあちらこちらで行われ
   ている行事の中で、淡路独特のものですか・・収穫祭などでしょうか?

広報:15年が経ちますが、阪神淡路大震災のとき病院ではどのような状況でしたか。

増井:棚のものが落ちたとか、検査室で記憶にあるのは恒温槽に張っていたお水が回り
   にこぼれていたくらいで、病院自体の被害は、ほとんどなかったように思います。震
   災当日は、平常通りの診察を行ったように思います。
ただ、島内のあちらこちらから
   職員が来ておりますので、各家庭の状態とか、通勤路確保が難しく出勤できなかっ
   た職員がいたように思います。


広報:恒例の質問ですが、病院食(職員食堂含む)は玉葱の料理がよくでますか?
   また全国にほこる玉葱を食べられているこの地域の方々の血圧は全国的にみても
   平均的に低いのでしょうか?


増井:玉葱の使用頻度が特別多いとは思いませんが、その時々の淡路の旬のお野菜が
   使われているように思います。なので、新玉の季節(4〜5月の玉葱を取り始めた季
   節)には、淡路玉葱独特の何層にもなって、甘〜い取れたての玉葱が“玉葱サラダ”
   となってよく出てきます。

   それから『高血圧』に関してです。全国平均は不明ですが、市の健康福祉課に確認
   したデータでは、市民健診の高血圧者の割合が、兵庫県の17%に対し、南あわじ市
   は13.5%と低いようです(平成21年度)。
   これが玉葱効果なのかは???ですが・・・・。



 突然の取材依頼でしたが、院長先生にも快諾していただいたうえ、淡路島=玉葱を連想
した質問に対しても、市の健康福祉課にまで問合せていただきました。少ない人数且つ全
員女性で、地域に根差した医療を担えるように頑張っておられる技師の方々に頭の下が
る思いでいっぱいになるとともに、会員の皆様にお届けできましたこと光栄に思いました。
再び技師会への要望もいただきましたので、今後前向きに検討したいと思います。
お忙しいところ、取材にご協力していただき、ありがとうございました。

平成23115日(広報部:鳥居良貴、達摩知子、増井裕  情報センター:小松敏也)